北の幸 昆布漁体験


昆布漁にチャレンジ

北海道八雲町の漁師の元で、昆布漁の体験をする機会を得ました。
日頃から“とろろ昆布”を取り扱っていますが、海に出て昆布を採るというのは初めての体験。

null

昆布漁といっても、海で昆布を獲ってから出荷するまでには、数多くの工程があります。
売り場に並ぶ昆布になるまでの軌跡を興味深く追うことができ、大いに興奮しました。また、美しい噴火湾で朝の太陽が昇る中、体を動かし作業することで、大自然の恵みを体全体で感じました。

白旗あがる。出漁!

漁港の突堤に、白い旗!
これは出漁のゴーサインです。漁が許される時間は、朝の5時から8時の3時間。
小ぶりな船に乗り込み漁場へ向かいます。

null

ここでは、昆布漁解禁の時期は7月から9月にかけてですが、漁期であっても天候が悪い時には出漁できません。その理由は、水揚げ後に昆布を干すことができないためです。漁ができない日には、赤の旗が掲げられます。

 

天然真昆布漁

漁港を出てから数分で漁場へ到着。
昆布には、天然と養殖の2つがありますが、今回は、その天然の真昆布を採ります。

null

用いる漁具は、ツブマッカと呼ばれる、先端に螺旋状の金属が取り付けられている長い竿。螺旋状の先端部分金属を昆布に絡めて引き上げます。
メガネ箱と呼ばれる、海中を覗く道具もありますが、慣れた漁師は、竿から手に伝わる感触で昆布の在りかを探ることもできます。
昆布が引き上げられると、小刀のようなもので根っこの部分を切り落とし、表面の汚れを落とします。道南で採れる真昆布は肉厚であるという特徴がありますが、商品としての干された昆布だとわかりづらいかもしれません。採れたての昆布はプリプリとしていて、まさに肉厚。海の栄養分を取り込んだ生命力を感じさせます。

デリケートな昆布干し

水揚げされた昆布は、即座に石を敷き詰めた干場(かんば)へ。
この工程は、昆布の仕上がりに最も大きな影響を与える作業。ムラなく多量の昆布をキレイに干すためには、急いで干場に昆布を並べる必要があります。

null

乾燥後の色や形をキレイにするだけでなく、その後の加工をスムーズに行うために天候に合わせて干す時間を調整します。
この日の干し時間は、朝8時過ぎから夕方5時くらいまで。
天日干しは、機械乾燥に比べ、調整の難しさがあって時間もかかりますが、じわじわと乾燥させるため質の高い熟成が可能です。
このことが、昔から変わらず、多くの漁師が天日干しをする理由なのかもしれません。
干場に干される昆布は、夏の北海道の漁港の風物詩となっています。

昆布巻き作業

昆布干しの後、一晩寝かして適度な湿り気が加えられ、翌日は昆布巻き作業。
一定の湿り気がないと、昆布が硬すぎて昆布を巻くことができません。
昆布巻きの作業は、乾燥してできた昆布の表面のシワを伸ばすために行われます。

null

今回お世話になった漁師さんの作業場で活躍するのは、自転車のような手作りマシーン。
昆布を手で押さえながら足でペダルを回し、昆布を巻いていきます。
1時間も続けて作業していると、徐々に握力が弱まっていく...。大変な作業です。

赤葉の切り落とし

次は、巻いた昆布を開き戻しながら、赤葉を切り落とす作業。
赤葉とは昆布の端の部分で、色が赤茶けている部分です。
この作業は、厚みが不十分な部分を取り除き、見た目をきれいな黒で統一する目的で行われます。

null

赤葉昆布は、切り落としであるため、サイズ・厚みがバラバラであるため、主たる用途は業務用や加工用。
赤葉としてどこまでを切り落とすべきか、判断に苦労しました。

天日干しと寝かせ

赤葉が切り落とされ黒い部分だけになった昆布は、木の板を使って30㎝ほどの長さに折りたたまれます。
そして、折りたたまれた昆布を積み重ね圧縮して寝かせます。

null

昆布を1日寝かしたあとには、2度目の天日干し。その後、更に圧縮して寝かせます。
このように天日干しと寝かせを重ねることで、昆布が熟成し旨味が増大するのです。
昆布の美味しさには、このような非常に手間のかかる仕事があることに感動しました。

緊張の出荷検品

天日干しと奄蒸が重ねられた昆布は、いよいよ出荷準備。
形を整え、等級ごとに選定し、計量のうえ箱詰めします。

null

等級選定は、厚みや色や形など、基準に合致する等級に振り分ける気の抜けない作業。昆布を一つ一つ確認しながら行われます。
出荷検品の際に目にしたのは、検定員による厳しいチェック。等級に合致しない場合は受け取ってもらえません。その場に立ってみると、思いのほか緊張しました。
この検品が終わって、ようやく一段落。

 

BBQ

一通りの作業の後に、BBQをすることになりました。
スーパーでビール、牛肉、羊肉、鶏肉、ソーセージ、トウモロコシなど買い込んで準備。
しかし、いざBBQが始まると、網の上で圧倒的な存在感を放つのは魚介!

null

漁港を眺めながら、大量の新鮮なツブ貝、タコ、毛ガニ、カキなどを焼いて食べて酒を飲むBBQは格別。
磯の香りを五感で楽しむ、そんなスペシャルな時間を大いに満喫しました。

 

まとめ

天然昆布漁は、かくも多くの作業で成り立つ大変なものだと実感。
と同時に、この体験をすることで、昆布という食の歴史の深さを再確認しました。昆布漁には現代技術が活かされているものの、漁の流れ・考え方そのものは昔から不変。漁師の方々は、漁の仕方や処理の仕方は変えず、道具に少しずつ改良を施しています。

null

昆布という素材は、北の海が生み出す大自然の恵みです。
その昆布を採り、より美味しい食材にしたのは、人々の工夫と努力の賜物。
そして、昆布漁・昆布文化は、長い歴史の中で磨かれ受け継がれてきました。
本当にありがたいことです。

 

昆布関連 商品

▼北海道とろろ昆布
日本古来のスーパーフードとも云う昆布を手軽に活用できる、とろろ昆布として開発。<商品を見る>

▼根昆布入りとろろ昆布
「根昆布」と呼ばれる、より強い粘りを生み出す昆布をブレンドしました。<商品を見る>

▼食いしんBAR THEパリパリ焼き昆布
【化学調味料無添加】天然だしの味が香ばしい、やみつきになる「昆布スナック」<商品を見る>

この記事を書いた人

食いしん坊侍 代表 大森 弘理
食いしん坊侍 代表 大森 弘理食いしん坊侍 代表
2009年にBFK㈱を設立し、「食いしん坊侍」商品を開発、展開。
食材や料理の背景にある自然や歴史にも強い関心をもって活動しています。機会を見つけて生産現場に赴き、時には漁師体験をさせてもらい勉強しています。

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA